2023年に見た映画
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2023年は62作の映画を見た。例年より少し多い。
映画のほか、今年は韓国のバラエティ番組もたくさん見た。ナ・ヨンソクさんというプロデューサーの番組。韓国のドラマや映画でよく見る俳優たちが多く出演している。ナPDと俳優たちの関係性もおもしろくて、引き込まれてしまった。
見た映画には、見ようと思った理由と感想を簡単に添えてまとめている。
そして人生はつづく(1992)
昨年末から見始めたアッバス・キアロスタミ監督。「ジグザグ道」3部作の2作目。監督は被災地を舞台にした映画を撮ることに利己主義を意識するのだろうか。皮肉も感じた。
オリーブの林をぬけて(1994)
「ジグザグ道」3部作の3作目。自立した女性。教養のある女性と結婚したい文盲の男。イランの新しい性別観?映画の中の映画という凝った作りだが、繰り返しが多くて眠くなった。
燃ゆる女の肖像(2019)
好きな地、ブルターニュが撮影場所だったので。男を排除した作りは逆に排他的ではないかと思うが、男性優位の社会では主張が埋もれてしまうのか。
トルーマン・カポーティ 真実のテープ(2019)
フォロー中のトルーマン・カポーティに関するドキュメンタリー。スワン、仮面パーティーなど、断片的に知っていた彼の人生がすこしつながった。
ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017)
ときどき見るニコラス・ホルトが出演。サリンジャーが瞑想やヨガに傾倒していたのを知る。
深呼吸の必要(2004)
今は有名な出演者たちの若い頃と、さとうきびを刈る作業が見たかったので。ざっと葉を落として、ざくっと茎を切る音が心に残った。一期一会な青春群像劇。
花束みたいな恋をした(2021)
『大豆田とわ子と三人の元夫』を見てから気になっている脚本家、坂元裕二。彼の脚本の映画。ちょっとしたこだわりがこじれると、自分はほかと違う特別な存在と思いがち。
スザンヌ、16歳(2020)
年上の男性に恋する心について、19歳で脚本を書き、監督主演したという話に興味をもち。全体的に幼稚で、妄想の域を出ていないように思えた。
逃げた女(2020)
ときおり見るホン・サンス監督。会話やキム・ミニのボディランゲージがおもしろい。穏やかなやりとりからも主人公の逡巡が見え隠れする。
パーフェクト・ケア(2020)
後見人ビジネスが題材というのに興味をもち。詐欺まがいのビジネスなのに合法であるのが怖すぎ、主人公の悪徳ぶりが楽しめなかった。
アンモナイトの目覚め(2020)
19世期の女性古生物学者が主人公だったので。性的描写が男性目線。荒れる海にふたりの女というのは『燃ゆる女の肖像』みたいだが、全く違う描写。そういう意味ではおもしろい。
スクールガールズ(2020)
ゴヤ賞の作品賞などを受賞していたので。母の未熟さを子に負わせる結末はしんどい。パール型のピアスをしている子が多かったのが気になる。
フェアウェル(2019)
監督が中国系アメリカ人なので。いろいろな文化を受け入れるのはこういう感じなのかな。作り手の思いが伝わってくる良作だった。悲しいけれど、からっと明るい。
タレンタイム 優しい歌(2009)
好きな映画ライターが紹介していて。多文化・多言語なマレーシアの様子が知れたような。理解しあって進んでいこうという前向きな明るさを感じた。講堂の灯がぱちぱちと点いて始まり、ぱちぱちと消えて終わる。
エクソシスト(1973)
好きな映画を再見。ディレクターズカット版にある階段ブリッジの場面がなかったので、物足りなかった。悪魔の執念深い復讐心よ。
タイガー・ガール(2017)
フォロー中のフランツ・ロゴフスキが出演。
ナオトひとりっきり Alone in Fukushima(2014)
この人を知らなかったので、どういう人だろうかと思い。カメラ映えする風貌だし、利用するために変な人がたくさん寄ってくるのだろうな。
若い女(2017)
フランスでいくつか賞をとっていたので。エネルギーあふれる主人公を遠くから眺めていた。近付くと巻き込まれて疲れるのを知っているので。
LAMB ラム(2021)
アイスランドからは馬や羊の奇妙な映画が出てくる。お父ちゃんはやはり羊と... 半獣描写にちょっとびっくりした。羊たちの表情を堪能。
あなたの名前を呼べたなら(2018)
インドの階級を超えた恋愛ものということで。インドでは、寡婦は社会的に生ける屍であるらしい。薄っぺらな印象なのはラブロマンス風だから?
春江水暖 しゅんこうすいだん(2019)
川のほとりにたたずむ東屋というポスターの風景がよくて。山水画のような絵が美しかった。出演者はほとんど監督の親戚だそう。市井の現実さがあった。GYAO!で見た最後の映画。
ベルファスト(2021)
北アイルランド出身のケネス・ブラナーが、故郷のベルファストを舞台に監督した映画。彼の回顧と懐古を描いたものでもあった。独特な軽妙さが好み。
ジョーンについて(2022)
ときおり見るイザベル・ユペールさんが出演。冒頭の雰囲気からレトロなロマンスものかと見始めたら、予想外な展開だった。俳優も味のある人ばかり。
ルシアとSEX(2001)
ポスターに写るルシアが力強く、きれいだったので。始まりと終わりのクレジットタイトルが、映画の内容を表していておしゃれだった。
トト・ザ・ヒーロー(1991)
姉と弟の複雑な関係を描いていそうだったので。男性の悲哀というのか自己憐憫というのか。たまに出会う、そういう種類の映画だった。
ピアニスト(2001)
イザベル・ユペール出演。ハネケ監督の作品は登場人物への愛が排除されていて、不快感が残る。けれど、ユペールさんのひょうひょうさは相変わらずで、奇妙な滑稽さを感じた。
罪の声(2020)
フォロー中の市川実日子が出演。
1秒先の彼女(2020)
何事も1秒早い彼女という設定がおもしろそうだった台湾映画。中年男性の女性に対する失礼さが全体的ににじみ出ていて楽しめなかった。
少年の君(2019)
ポスターで雨に打たれるふたりの切なさよ。受験戦争×いじめ×ボーイミーツガールまではなんとかなるが、刑事人情ものは余計だった。
ミナリ(2020)
韓国人俳優が初めてアカデミー賞を受賞した作品。『ウォーキング・デッド』のスティーヴン・ユァンも出演。開拓とキリスト教の関係が身近でないからか、あまり響かなかった。
ベル・カント とらわれのアリア(2018)
フォロー中のジュリアン・ムーアが出演。
オン・ザ・ミルキー・ロード(2016)
フォロー中のエミール・クストリッツァの作品。
君たちはどう生きるか(2023)
誘われて映画館で鑑賞。題名から説教臭いと嫌だなと思ったが、そのようなことはなかった。過去作へのオマージュのような趣もあり。鳥がたくさん出てきてよかった。
オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に(2010)
フォロー中のセドリック・クラピッシュの作品。
台北暮色(2017)
ホウ・シャオシェン監督の元助手の作品。始まりがシャオシェン監督の『ナイルの娘』の雰囲気。それで古い話かと思ったが、新しい製品が順に出てきて最近の話だとわかった。
エル プラネタ(2021)
ポスターに写る生気のない女性が印象的で。町にいるのも金があるのも老人ばかり。若者や働かない人に厳しい社会なのはスペインも同じか。
ケイコ 目を澄ませて(2022)
聴覚に障害のある女性プロボクサーの話。『きみの鳥はうたえる』の三宅唱監督が映画化。人々がマスクをつけて暮らすコロナ時代が撮られていて新鮮だった。
犬王(2021)
諸行無常セッションを見て、原作も読んでいたので、楽しみにしていた。しかし、現代のロックや演出を室町時代でどう再現するかという捻りのない話になっていて、退屈だった。
ザリガニの鳴くところ(2022)
湿地が舞台の映画が好きなので。人間は善悪を設定して生きている。その文化を享受しながら、生き物に善悪はないと主張するのはどうなのだろう。
オテサーネク 妄想の子供(2000)
切り株を子供として育てるという話がおもしろそうで。冒頭で赤ん坊の声が拍を外して重なるのにぞわぞわ。シュヴァンクマイエル監督は少女を愛する傾向があるよね。
アイダよ、何処へ?(2020)
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を題材に撮り続けるヤスミラ・ジュバニッチ監督。最後に主人公がとった行動に、強い決意と凄みを感じる。紛争は日常から始まる。
アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(2021)
高性能な恋人アンドロイドとの付き合い方、ドイツ版。心が穏やかになる都合のよい存在が簡単に手に入るようになったら、人間のコミュニケーションは確実に変化するだろうな。
ボーンズ アンド オール(2022)
人食い×若者の恋という設定が気になり。『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ×ティモシー・シャラメというのも。食べる場面が現実的でよかった。
シエラネバダ(2016)
あまり見たことがないルーマニアの映画。家族あるあるな話だけれど、中年男性の視点を感じて楽しめない部分もあった。
シン・仮面ライダー(2023)
フォロー中の市川実日子が出演。
劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族(2020)
猫が見たくなって。猫の顔は癒し。ミャンマーの湖で暮らす猫は、飼い主に大切にされていて、彼らはひとつの家族だった。
〈主婦〉の学校(2020)
アイスランドの家事の技術に興味があり。調理は文化の違いが大きい分野なので、やはり見ていて楽しい。映像もきれいだった。
アナザーラウンド(2020)
アルコール実験をする中年男性教師たち。そして悪化する中年の危機。酒は楽しいときに飲むのがよい。映画に出てきた料理ごとに合う酒を出してくれる店に行ってみたい。
リトル・ジョー(2019)
人を幸せな気分にする新種の美しい花。監督は『ルルドの泉で』の人だった。あまり合っていなかったが、音楽に雅楽が使われていた。伊藤貞司という人の昔の曲らしい。
新しい街 ヴィル・ヌーヴ(2018)
フォロー中のレイモンド・カーヴァーの短編にインスパイアされたアニメ。墨絵の光や影、形の変化が詩的できれいだった。
ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020)
軍人と理系おたくが手を組むというのがおもしろそうで。癖の強い中年男性たち。偶然と確率の話は考えるとわからなくなる。人は思うように物事を解釈する。
ローラとふたりの兄(2018)
リュディヴィーヌ・サニエを久しぶりに見ようかと思い。すこし面倒だがあたたかい家族のつながり。フランスのある種の層が好みそうな感じの話。
プロジェクト・グーテンベルク 贋札王(2018)
贋札作りに興味があったのと、プロジェクト・グーテンベルクという題名の響きに引かれて。ストーリーとアクションはおもしろかった。絵もきれい。
声もなく(2020)
口のきけない青年と誘拐された少女の関係が気になって。ヒューマンものかと思ったら、ブラックコメディ風だった。ユ・アインは体が大きくなり、不気味さが増していた。
地下室のヘンな穴(2022)
穴に入ると12時間進んで3日若返るという変な設定のフレンチコメディ。監督は『ラバー』の人だった。穴の出口側から入るとどうなるのか知りたかった。
ベルイマン島にて(2021)
著名な映画監督が暮らしたスウェーデンの島が舞台。ミア・ハンセン=ラヴの作品。時間の行き来する脚本が、ふしぎな空間を生み出していた。風を感じる島の景色が美しい。
GAGARINE ガガーリン(2020)
団地が舞台のフランス映画。団地と宇宙は相性がよい。脇役の売人が妙によい味を出していた。エンドロールの黒地にやわらかな黄緑色の文字がきれい。
ニトラム NITRAM(2021)
実際にあった事件が題材。主演がカンヌで男優賞を受けていたので。母役の表情が印象的だった。愛憎の交錯する諦観。主人公と金持ちヘレンとの話が実話であることにびっくり。
シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア(2014)
ヴァンパイアたちが暮らすシェアハウスという設定がおもしろそうで。ぐだぐだになりそうでならない絶妙なゆるさ。ヴァンパイアあるあるや界隈の他族も出てくるので楽しい。
マルモイ ことばあつめ(2019)
韓国のバラエティ番組で知ったユ・ヘジン。彼の演技を見てみたくて。日本人として見るのはしんどい類いの映画だが、知らないよりはよい。
君はひとりじゃない(2015)
ポスターに写る女性の目力が印象的なポーランド映画。原題はCialo(体)。邦題は霊の存在も含んでいるのかな。霊媒師が出てきて奇妙だった。
ビフォア・ザ・レイン(1994)
北マケドニアが舞台の映画。時系列のようでそうではない、ねじれた構成が寓話的。30年も前の映画なのに、今世界で起こっていることは昔と変わらないのがつらい。