The Palace
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詳細
- 公開年
- 2023
- 製作国
- イタリア
- スイス
- ポーランド
- フランス
- 監督
- ロマン・ポランスキー
Roman Polanski
更新
1933年、フランスのパリ生まれ。両親はポーランド人。第二次世界大戦中は迫害を受け、逃亡生活を送った。大戦後、ラジオ番組や舞台への出演を経て、ポーランド国立映画学校に入学。在学中や中退後に撮ったいくつかの短編は、各国映画祭で評価された。1962年に『水の中のナイフ』で長編を初監督。その後イギリスに渡り、『反發』(1965)、『袋小路』(1965)を製作。これらはそれぞれベルリン国際映画祭銀熊賞、金熊賞を受賞。『吸血鬼』(1967)に出演したシャロン・テートと結婚し、アメリカに渡る。ハリウッドで製作した『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)はヒット作となった。自らの体験をもとに描いた『戦場のピアニスト』(2002)は、アカデミー監督賞、カンヌ国際映画祭パルム・ドールなどを受賞した。私生活においては、妻シャロン・テートがチャールズ・マンソン・ファミリーに惨殺されたり、少女モデルをレイプした事件の裁判から逃亡中であったりと波乱である。1989年にエマニュエル・セニエと結婚している。
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オフィサー・アンド・スパイ
原作はロバート・ハリスの小説『An officer and a spy』。ポランスキー監督が彼の小説を映画化するのは『ゴーストライター』に次いで2回目。ユダヤ人差別が根強い19世紀末のフランス。ユダヤ人の陸軍大尉ドレフュスはスパイ容疑で有罪になる。防諜部長に就任したピカールは、ドレフュスの冤罪につながる資料を見つけるのだが。軍服に髭の男性が大量に出てきて見分けが難しかった。
告白小説、その結末
自殺した母について書いた本がベストセラーとなった作家デルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)は、サイン会で彼女の熱烈なファンだというエル(エヴァ・グリーン)に出会う。スランプに陥っていたデルフィーヌは、熱心に話を聞いてくれるエルに心を許し、次第に依存していく。もう一捻りを期待して見ていたのだけれど。
毛皮のヴィーナス
原作はアメリカの戯曲。マゾヒズムの語源となった作家マゾッホの代表作を舞台化しようとする脚本家と、オーディションを強引に受けようとする女優。ふたりの支配を巡る駆け引きがおもしろく、間合いが絶妙なコメディ。女優役はポランスキーの妻エマニュエル・セニエで、脚本家役のマチュー・アマルリックはポランスキーに瓜二つ。
おとなのけんか
傷害沙汰になった子供のけんかを円満に収めようと集まった2組の夫婦。初めは型通りに終了するかと思われた面会だった。しかし、些細な意見のずれが重なり、4人の醜悪な本音が飛び交う事態になる。ヤスミナ・レザの舞台劇を映画化した、大人の社会性を突き崩す室内劇。
ゴーストライター
ゴーストライターの男は気乗りしなかったが、代理人の勧めで元英国首相の自伝代作の仕事を引き受ける。前任者は不慮の事故で亡くなったという。外遊中の元首相と落ち合うため、イギリスからアメリカの別荘に向かった男だったが。筋書きは王道ながらも、登場人物の描写に不可思議な魅力を感じるミステリー。
それぞれのシネマ カンヌ国際映画祭60回記念製作映画
オリバー・ツイスト
イギリスの文豪ディケンズの同名作を映画化。19世紀ロンドンに生きる孤児の少年オリバー・ツイストを描く。どの場面をとっても一枚の絵になる完璧さ。独特の間合いをとるロマン・ポランスキーのリズム。『死と処女』にも出演のベン・キングズレーが好演。
戦場のピアニスト
ナチス・ドイツによる迫害を生き延びた実在のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの回想録をもとに映画化。シュピルマンの視点で描かれる迫害に、彼と共に運命に翻弄され心を裂かれる。自由な意思が尊重されない状況で、自分の中の善意に正直でいられるかどうか。多くの人の最大限の善意の積み重ねが、彼を救ったのかとも思う。
ナインスゲート
本の探偵コルソ(ジョニー・デップ)は、17世紀に悪魔自身が書いたといわれる書物『ナインスゲート』の真贋鑑定を収集家から依頼され、ヨーロッパへ旅立つ。コルソの行先に現れたり消えたりする謎の美女をエマニュエル・セニエが好演。
死と
アルエル・ドーフマンの戯曲をもとに映画化。登場人物は3人。限られた空間、人間関係の中での息詰まる真実の追求。嵐の夜、人里離れた岬に立つ家に夫の客がやってきた。隣の寝室で客の声を聞いた妻は凍りつく。その客は独裁政権時に彼女を拷問した男だった。
赤い航路
妻との旅行で豪華客船に乗ったナイジェル。彼は船上で出会った作家オスカーから、オスカー夫妻の倒錯した愛の物語を聞くこととなる。オスカーの妻ミミにエマニュエル・セニエ。ナイジェルにはヒュー・グラント。この組合せ(のミスマッチ?)がおもしろい。
フランティック
アメリカ人医師リチャードは、学会に出席するためパリを訪れる。しかし、一緒に来ていた妻がホテルから忽然と姿を消す。リチャードは妻を探して、言葉も地理もわからない異国を迷走する。リチャード役をハリソン・フォードが熱演。
ポランスキーのパイレーツ
テス
原作はトマス・ハーディの小説。19世紀のイギリスに生きた女性テスを描く。現代の価値観からすると不条理。知識と自立して生きる力をもつことの大切さを痛感する。テスを演じたナスターシャ・キンスキーが美しい。苺を口にするシーンは官能的。
テナント 恐怖を借りた男
トレルコフスキーは空きの出たアパルトマンの内見に訪れるが、以前の住民シモーヌは部屋から投身自殺を図ったという。彼がシモーヌを見舞うと、彼女は恐怖に満ちた叫びを残して亡くなる。かくして新しい住まいに移った彼だが、次第に周囲の人々に疑念を抱き始めるのだった。ロマン・ポランスキー自作自演の妄想と現実が入り混じるサイコ・スリラー。
チャイナタウン
ある女性から夫の浮気調査を依頼された私立探偵ジェイク・ギテス。建設技師である夫の調査を進めるなか、ダム建設をめぐる疑惑が浮上する。1930年代ロサンゼルスを舞台にした丁寧なサスペンス。ロマン・ポランスキーもチンピラ役で登場。
ポランスキーの欲望の館
マクベス
シェークスピア『マクベス』の映画化。荒野で出会った3人の魔女の予言に惑わされ、スコットランド王の暗殺を謀るマクベス。悪魔は人心にあり。ロマン・ポランスキーが得意な、悪魔的な内なる葛藤。
ローズマリーの赤ちゃん
マンハッタンの古いアパートに引っ越してきた俳優ガイとその妻ローズマリー。住民はお年寄りが多く、おせっかいともとれる図々しさで彼女の生活に侵入してくる。やがて彼女は妊娠するが、妄想と現実の狭間に陥っていく。
吸血鬼
吸血鬼退治でルーマニアのトランシルバニアにやって来たアブロンシウス教授とその助手。ニンニクの吊り下げられた田舎宿。そこの美しい娘に助手は恋するが、彼女は吸血鬼の館にさらわれるのだった。助手役をポランスキー自身が演じるホラーコメディ。宿の娘役は、のちにポランスキーの妻となるシャロン・テート。
袋小路
車が立ち往生した悪党は、動けない仲間を残して助けを求める。電話線をたどって着いた古城には、鶏があふれ、中年男と若い女の奇妙な夫婦が暮らしていた。満潮時には道が閉ざされ孤島となる城を舞台に、どこか滑稽で不安定な人間関係を描く。若い女役にカトリーヌ・ドヌーブの姉、フランソワーズ・ドルレアック。
反撥
セックスに対して憧れと嫌悪を抱く若い女性。やがてその反発が彼女を崩壊に導く。ゆがむ空間、緊張を催す時計や水の音。距離のある視点が狂気を増す。カトリーヌ・ドヌーブが可憐ながらも、悲しく、恐ろしい。
世界詐欺物語
水の中のナイフ
裕福な夫婦のヨット遊びにヒッチハイクで拾った青年が加わることになる。水上のヨットという限られた空間で繰り広げられる3人の人間模様。下手をすると泥々になりそうな彼らの感情の動きを、絶妙な均衡で描き切った秀作。映像もとてもきれい。
哺乳動物たち
短編
雪原をふたりの男がやってくる。ひとりはそりに座り、ひとりはそれを引いている。ふたりは嫌々ながらも交代でそりを引くのだが、そのうち楽な座る側を巡って、見苦しい争いが繰り広げられる。
太った男と痩せた男
短編
ある館の前で、揺り椅子でくつろぐ太った男のために、やせた男が笛を吹き、太鼓を叩いている。踊り、汗をぬぐい、扇で風を送り。太った男のために大忙しのやせた男は、逃げ出したいと遠くの町を憧れの目で眺める。ロマン・ポランスキーがやせた男を演じている。
天使たちが失墜するとき
短編
町の地下にある男性トイレで番をする老婆。ガラス天井から差し込む光の中で、彼女は来し方を回想する。兵隊に恋をし、やがて結ばれ、息子が生まれるのだが。老婆はロマン・ポランスキーが演じたとか。
灯り
短編
通りの窓辺に老人が石油ランプの明かりのもとで作業しているのが見える。彼は人形職人で、壊れた古い人形たちを修理している。あるとき、彼は明るさの足りないランプをやめ、電灯を使うようになるのだが。
タンスと二人の男
短編
前面に鏡のついた大きなタンスを海で見つけたふたりの男。水中から引き上げ、ひとしきりはしゃいだあと、タンスを抱えて町に繰り出すが、タンスは人々になかなか受け入れられない。ロマン・ポランスキーも町の不良役で登場。
殺人
短編
ドアの取っ手が静かに動き、ある者が部屋に入ってくる。そして、ぐっすりと眠る男の心臓に刃物を突き刺し、ゆっくりと去っていくのだった。
パーティーを破壊せよ
短編
パーティーの準備は滞りなく行われ、夜になると正装や仮装をした若者たちが集まり、愉快な生演奏のなか、ダンスを楽しんでいた。そこへ不良集団が現れ、受付係に門前払いを食らうのだが。
微笑
短編
とある建物内の階段を下りて来た男は、途中の小窓にふと興味を引かれ、のぞき込む。窓の内側にある浴室では、女が裸で髪を乾かしているところで、男はにんまりとする。
(こぐ人)
短編