イアン・マキューアン

高等法院の女性裁判官フィオーナ・メイ。結婚生活をめぐり夫から受け入れ難い提案を受けた夜、信仰から輸血を拒む少年の緊急案件が舞い込む。彼女と少年の交わった人生は、静かに大きく影響を与え合う。規則を尊重する法曹界を舞台に描く、大人としての誠実さとは。

書誌情報

未成年

著者

イアン・マキューアン

訳者

村松潔

出版者

東京 : 新潮社

出版年

2015

ISBN

9784105901226

The children act

著者

Ian McEwan

出版者

London : Jonathan Cape

出版年

2014

ISBN

9780224101998

セリーナはロマンス小説に読み耽る少女だった。冷戦下のイギリス。彼女は運命のいたずらか、諜報機関のMI5で働き始める。そして、反共主義的な作家を支援する極秘任務スウィート・トゥースの中で、若き作家と小説のような恋に落ちるのだった...

書誌情報

甘美なる作戦

著者

イアン・マキューアン

訳者

村松潔

出版者

東京 : 新潮社

出版年

2014

ISBN

9784105901110

Sweet tooth

著者

Ian McEwan

出版者

London : Jonathan Cape

出版年

2012

ISBN

9780224097376

ちび、でぶ、禿げだが、ある種の美女にもてる男マイケル・ビアードは、若くしてノーベル物理学賞を受賞して以来、研究者ではなく金をもたらす飾りとして科学界を渡り歩いてきた。気候変動問題が取り沙汰される21世紀、彼は英国の新しい研究所の所長に就任するのだが。欲望に満ちたビアードの半生を通して描かれる現代社会と科学ビジネスの姿。

書誌情報

ソーラー

著者

イアン・マキューアン

訳者

村松潔

出版者

東京 : 新潮社

出版年

2011

ISBN

9784105900915

Solar

著者

Ian McEwan

出版者

London : Jonathan Cape

出版年

2010

ISBN

9780224090490

性革命を目前にした1962年イギリス。チェジルビーチに面するホテルに投宿したエドワードとフローレンスの新婚夫妻。初夜を迎えるにあたり、新郎が失敗せずに満足させられるかを悩む一方、新婦はセックスへの嫌悪という深刻な問題を抱えていた。性について話し合うことが困難だった時代に若いふたりが直面する危機的な一夜を描く。

書誌情報

初夜

著者

イアン・マキューアン

訳者

村松潔

出版者

東京 : 新潮社

出版年

2009

ISBN

9784105900793

On Chesil Beach

著者

Ian McEwan

出版者

London : Jonathan Cape

出版年

2007

ISBN

9780224081184

ある冬の土曜日。脳神経外科医のヘンリー・ペロウンは、夜明け前に不思議な明晰と高揚に包まれ目を覚ます。しかし、その感覚はこれから始まる一日に対する静かな警告だったのかもしれない。9・11テロ後の不安漂うロンドンを舞台に、都会に暮らす人間の一日を切り取ることで、彼の心の奥に秘められた恐れとの対峙を描き出す。

書誌情報

土曜日

著者

イアン・マキューアン

訳者

小山太一

出版者

東京 : 新潮社

出版年

2007

ISBN

9784105900632

Saturday

著者

Ian McEwan

出版者

London : Jonathan Cape

出版年

2005

ISBN

0224072994

1930年代イギリス。ゴシック式の屋敷に暮らす少女ブライオニーは、帰省する大好きな兄を自作の劇で歓迎しようと台本を書き上げ、一緒に演じるはずのいとこたちの到着を待ちわびていた。しかし、その暑い夏の日は、彼女を重大な決心をするに至らしめ、そして大きな罪が生まれるのだった。豊かな人物・情景描写、巧みな作り。

書誌情報

贖罪

著者

イアン・マキューアン

訳者

小山太一

出版者

東京 : 新潮社

出版年

2003

ISBN

4105431013

Atonement

著者

Ian McEwan

出版者

London : Jonathan Cape

出版年

2001

ISBN

0224062522

魅惑的な才媛モリーは、40代にして知的機能が突然衰え、帰らぬ人となった。著名な作曲家クライヴと全国紙の編集長ヴァーノン。かつての恋人で大切な友であったモリーの死に様を目にしたふたりの男は、尊厳のある死を迎えたいと考え、ある約束を交わすのだった。利己的な現代人の結末は滑稽である。

叫び声が聞こえたのは、科学ジャーナリストのジョーが久々に再会した恋人のクラリッサと、チルタン丘陵でピクニックの食事を始めようとした矢先だった。偶然に遭遇した気球事故から、若い男に一方的に愛を告げられ、クラリッサとの信頼は揺らぎはじめ、ジョーは愛の生み出す妄想に巻き込まれていく。

無口でひとりでいるのが好きだったため、大人から“むつかしい”と思われていたピーター少年。なぜなら、彼の頭の中は空想で非常に忙しかったためだった。オオカミの群れと対決することを考えていて妹をバスに置き忘れたり。そんなピーター少年の“頭のなかで起こったへんてこりんな冒険”の数々。

合理主義者のバーナードと神秘主義者のジューン。愛する妻の両親と親交を結ぼうとするジェレミーだが、幼くして両親を亡くした帰属感の欠如から絶対的な主義主張を持たない彼は、彼らの対立する強い信念の間で右往左往する。大戦中に出会い、共産党員として共に歩み始めた彼らが、なぜ袂を分かったのか。ジェレミーは回想録に記すのだった。

1955年、ベルリンにやって来た英通信省の技術職員レナード。手違いからアメリカ人の元で働くことになるが、任された仕事は東西の均衡に関わるものだった。うぶな若者は、重要な秘密を共有し、さらに運命の女性と出会ったことで、一人前の男になったと感じるのだが。実在の秘密作戦を軸に、レナードが陥る窮地をサスペンスタッチで描く。

児童文学者のスティーヴンは、公共福祉費削減という経済政策で公共交通機関が不足しひどく渋滞する車道の脇を歩き、公認乞食との恒例の気詰まりな遭遇を経て、政府児童教育委員会に向かう。会議中、彼の心はさまよい始め、失踪した幼い娘や離れてしまった妻、突然政界を引退した友人のことを考えるのだった。

休暇で運河の流れる古い街に滞在する恋人たち、コリンとメアリ。長い付き合いゆえの近しさと旅の不自由さから気まずい雰囲気のふたりは、夜遅くに食事ができる場所を探して街をさまよい、道に迷う。そして、ひとりの男に出会い、彼に導かれて食事を共にするのだが。男と女の性差を緊張感の漂う不気味さをもって描く。

父さんは最初の心臓発作が起こったあと、庭造りをやめ、家の周りを覆うためにセメントを15袋注文した。ぼくと姉さん、妹は、いずれそのセメントをたくさん使うことになる... 父の死、母の死、残された4人の子どもたち。まとわりつく夏の暑さ、自由と不安、危うい均衡。思春期の性質を見事に描き出した秀作。

家族と別居中の男は、安っぽいカフェで休暇中に娘を家に招くことを妻と話し合い、その翌朝に夢精する... 表題作ほか、水や燃料の不足で荒廃した世界に幼い娘と生きる男「二つの断章」、百貨店の窓辺に立つマネキンに恋をする金持ち男「情熱の果て」など、性的な倒錯を軸に描く短編集。

頑丈なテーブルの上にマットレスを敷き、開いた大きな窓の前で睦み合う。どんよりと停滞した日々を過ごす若い男女を描く表題作ほか、曾祖父の日記を読み解くうちに数学的な大発見に気付く男の話「立体幾何学」、女優を引退した伯母に引き取られた少年は、夕食の度に奇妙な衣装を着せられて...「装い」など、精神的倒錯をテーマにしたものが多い短編集。