久々の引っ越し
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この春、十数年暮らした沖縄を出て、三重県の南部に引っ越してきた。リアス海岸と青い海が織りなす風景が美しく、真珠やアオサの養殖が盛んなところ。
しかし、人口が減り続けるこの地に寂しさを感じる。なんとも言えない活気のなさに覆われている。若い世代が多く、人口が増え続けていた沖縄から移ってきたので、とくにそう感じるのかもしれない。
人口が少ないと賃貸住宅の需要も少ないのか、物件数が限られていて、家を探すのが大変だった。築年数も20年や30年が普通で、築浅の物件は数えるほどしかない。洗濯機の外置きを許容できるか、不動産会社でまず聞かれたときには、学生時代の部屋探しにタイムスリップしたようだった。
とはいえ、時間が限られた中での家探しは巡り合わせでしかない。家を決めるために沖縄から訪れた日、住み心地のよさそうな物件がちょうど空いていたのは幸いだった。古いけれど、眺めのよい小さなアパート。
家の窓からは、隣の土地に広がる雑木林が見える。林には鳥がたくさん暮らしていて、鳥好きの私は双眼鏡を手に彼らの生活をこっそり眺めている。まだ目にしていないが、静かな夜にフクロウの声が聞こえることもある。
引っ越しと同時に新しい仕事を始めたので、生活がだいぶ変わった。最近やっと落ち着き、後回しにしていた私的なことに手をつけ始めたところ。穏やかに、そして変化を恐れずに過ごしたい。