ねおき

引っ越しあれこれ

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フランスから帰国して1ヶ月ほど経った。今は東京に住んでいる。

今回の引っ越しでは新居になかなか落ち着かず、2週間経ってやっと日常生活を営めるようになったところ。

なぜなかなか落ち着かなかったのか。家具家電の付かない空っぽの部屋を久しぶりに借りたというのもあるけれど、おそらく次の3つが原因だったのではないかと。

引っ越して最初の夜。シャワーを使っていたら、お湯が出なくなった。途中まで快調だった給湯器がうんともすんとも言わなくなったのだ。水もお湯も出ない。

その後、給湯器のコンセントを抜き差しすると動くことがわかったのだが、使うたびに途中で湯水が出なくなるので、さすがに危ないかとガス会社の人に見てもらった。どうやら給湯器に入るガスの量が多く、内部の温度が上がりすぎて止まるのではということだった。

給湯器と並行して、複数の蛇口からぼとぼと水漏れするし、排水口の詰まりもひどく、これらは大家さんと相談し、まとめて水道屋さんに直してもらった。

このような感じで、不便は続くし、人の出入りが多く、しばらく心が休まらず。

ふたつめの「汚い」。部屋は清掃されてはいたのだが、あくまでざっと掃除しましたという体。素人が洗剤をつけてこすれば落ちるような汚れもそのままで、さすがの私も汚くて嫌だなと掃除をし始めたら、かなりの時間を取られた。

「2年前の生活用品」。フランスと日本を行ったり来たりの間、家財道具を預けていた。新居は広くないので、その一部を持ち出してきたのだが、約2年の別れは思ったよりも影響が大きかったのだった。

例えば、100円ショップの菜箸をまだ使えるからと取っておいたのだが、箱を開けてみるとかびていたり。端が欠けているけれど愛着があり捨てられなかったはずの食器も、なんだこれ?みたいな。

2年前に必要だった道具たちの多くは、今の私にとってそれほど重要ではなくなっていたのだった。そのような現実に無常を感じながら、要る物・要らない物とひとつひとつ仕分ける作業は案外辛くて寂しいものだった。

そんなこんなで、新居に落ち着くまで少し時間がかかってしまった。そして今は新しい町を探検中。東京の大部分がそうだろうけれど、この辺りは歴史のあるところなので、昔に思いを馳せながら歩くのは楽しい。

新居は少し変わったところに在していて、それに付随する面白い話もあれこれあるのだが、いま書くと住む場所がわかってしまうので、いずれお話できればと思う。