ブルゴーニュワインの勉強メモ(1)
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以前、お世話になったフランスの人たちに振る舞うため、スモークサーモンのちらし寿司を作る機会があった。辛口の白ワインを合わせようとスーパーの棚を見たが、種類が多くてさっぱりわからない。仕方ないので、すらりとした細い瓶の形が寿司に合いそうという理由で1本の白ワインを選んだ。
ワインに詳しい方はこの辺りできっと「ははぁ」と思うのだろう。選ばれたのはアルザス地方の甘口なのだった。ちらし寿司と並べたそのワインを開けて味見したとき、私は心の中で漫画のように吹き出した。とろりとした甘いワインとスモークサーモンの相性は決してよくない。
ワインには、地質やブドウの品種、生産年など、味を決める要素がたくさんある。その膨大な情報の世界に足を踏み入れるのは面倒だと思っていた。しかし、縁がありワインの産地ブルゴーニュに住んでいるのだし、必要なときに必要なものを選べる程度には詳しくなろうと、少し勉強することにした。
以下は今の段階で私に必要そうな情報をまとめた覚え書きである。参考にしたのはVins de Bourgogneというサイト。覚え書きのうしろには最近飲んだワインをまとめている。
豆知識
法律によるフランスワインの階層
- AOC(Appellation d'Origine Contrôlée)
- ヴァン・ド・ペイ(Vin de Pays)
- ヴァン・ド・ターブル(Vins de Table)
ブルゴーニュワインのAOC
- グラン・クリュ(Grand Cru):ラベルには畑の区画名が記される
- プレミエ・クリュ(Premier Cru)
- 村名アペラシオン(Appellation Village)
- 地域名アペラシオン(Appellation Régionale)
ブルゴーニュワインの生産地区
- シャブリ(Chablis)とグラン・オーセロワ(Grand Auxerrois)
- コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)とオート・コート・ド・ニュイ(Hautes Côtes de Nuits)
- コート・ド・ボーヌ(Côtes de Beaune)とオート・コート・ド・ボーヌ(Hautes Côtes de Beaune)
- コート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise) とクショワ(Couchios)
- マコネ(Mâconnais)
- シャティヨネ(Châtillonnais)
ブルゴーニュワインの作り手
- ドメーヌ(Domaine):ブドウの栽培から醸造・販売
- ネゴシアン(Négociant):畑は持たず、醸造・熟成・販売
- 協同組合(Cave Coopérative):ブドウ栽培者が共同で醸造・販売
ブルゴーニュワインのブドウ品種
- シャルドネ(Chardonnay):白
- ピノ・ノワール(Pinot Noir):赤
- ガメイ(Gamay):赤
- アリゴテ(Aligoté):白
その1:クレマン・ド・ブルゴーニュ
2015年10月 カルフールにて5.75ユーロで購入
辛口(Brut)の白ワインを飲もうと選んだら、発泡性だった。AOCの地域名アペラシオンで生産地域はブルゴーニュ全域。生産年の記載がないのはブレンドだろうか。
その2:シャブリ
2015年10月 カルフールにて7.3ユーロで購入
シャブリ地区の畑はジュラ紀の地層で、牡蠣の化石がごろごろ転がっているという。そこで育ったブドウのワインはどんな味だろうと選んだ白ワイン。私にはすこし酸味が強すぎた。
AOCの村名アペラシオンで生産地域はシャブリ。ラベルの“Mise en Bouteille au Domaine”は、自社農園で栽培から瓶詰めまでを行ったことを意味するようだ。
その3:ブルゴーニュ
2015年10月 カルフールにて8.60ユーロで購入
ピノ・ノワール種の赤ワインを飲んでみようと選んだ。AOCの地域名アペラシオンでピノ・ノワール100%。Jean Bouchardは古くからのネゴシアンのようだ。このワインも酸味を感じて、酸っぱい酒が苦手な私はブルゴーニュワインと相性が悪いのかと思い始める。
ラベルにある白い髭のおじいさんの絵柄は“Confrérie des Chevaliers du Tastevin”(利き酒騎士団)という団体のお墨付きを意味するそうだ。この団体は1934年に設立され、ワインをはじめとしてブルゴーニュ文化の普及に取り組んでいる。
その4:シャブリ・プレミエ・クリュ
2015年11月 カルフールにて15.40ユーロで購入
シャブリの白を気に入った家人が格上のものを飲んでみようと選んだ。おいしいけれど、やはり酸っぱい。酸っぱいに囚われてしまった私には、酸味が気になって仕方ない。
Closerie des Alisiersは、大手ネゴシアンに買い叩かれていた生産者と協力し、費用対効果のよいワインを送り出しているネゴシアンだそう。ラベルの“Vosgros”はクリマ(climat)呼ばれる土地区画の名称。
その5:ブルゴーニュ・アリゴテ
2015年11月 カルフールにて8.99ユーロで購入
アリゴテ種の白ワイン。ラベルのアンモナイト模様がきれい。AOCの地域名アペラシオンで生産地域はブルゴーニュ全域。酸っぱくなくて、花と柑橘系の香りが心地よい、とても好みなワインだった。
P-L & J-F Bersanは15世紀から続く家族経営のドメーヌだそう。このドメーヌは一般的なアリゴテ種ではなく、アリゴテ・ドレ(Aligoté Doré)という品種を使用しているのだとか。doréは黄金色。アリゴテ・ドレを使用した白ワインで知られるのがブーズロン(Bouzeron)で、こちらも試してみたいところ。
その6:マコン
2015年11月 カルフールにて5.45ユーロで購入
煮込み料理用に入手。AOCの地域名アペラシオンで生産地域はマコネー(Mâconnais)。La cave d'Augustin Florentはカルフールの独自ブランドのようだ。
その7:コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ
2015年11月 カルフールにて13.60ユーロで購入
ディジョンからボーヌへ出かけたときにブドウ畑の中を通った。その途中にあった町Nuits Saints Georges。ニュイ・サン・ジョルジュという響きが気に入り、そこで作られるワインの味に興味をひかれた。しかし、村名アペラシオンは値段が高くて手が出ない。
そこで、手頃な地域名アペラシオンかと思い、選んだのがこのワイン。実際は村名アペラシオンで、生産地域はコート・ド・ニュイのニュイ・サン・ジョルジュ以外のコミューンのようだ。ラベルの“Les Vignottes”はリュー・ディ(lieu-dit)と呼ばれる登記上の土地区画の名称。
開けた当初はアルコールの匂いを少しきつく感じたが、次の日にはベリー系の明るい香りのするおいしい赤ワインになった。